October 15, 2011

インタビュー9・・・ねはち制作室

東京の下町で鉢と植物をつくっているねはち制作室。
北住拓也さん、出口絵衣子さんご夫妻にお話をうかがいました。

Q1.ねはちの名前の由来は何ですか。
植物を植えるための鉢で、根の生えたようなデザインのもの。2000年に仕事を始めた時からつくり続けている定番で、“ねはち”とは私がつけた名前です。(出口絵衣子)

Q2.作品はどのようにしてできあがるのでしょうか。
鉢は出口絵衣子がつくり、作風は年々少しずつ変わってきています。植物は北住が家のベランダや室内で主に素焼き鉢で育てている。以前は催し物とか展示会にあわせて鉢と植物を組み合わせたりしたけれど、とってつけた感じがどうしても作品に残り、発見に欠けていたように思う。
ここ数年二人ともそういう世界から離れて、別々にやりたいようにやってきて何かが変わってきました。
僕(植物担当)の側から今、作品のなりたちについて言えば、育てている植物に自分なりの発見とか感じたものがあったとき、それをひきたたせたい、又それを忘れたくないために、素焼き鉢から化粧鉢にはじめて移します。

器は大きさ、安定感、質感や色など一つ一つが違うので、そのなかからこれだっていう器を選ぶ。言うと簡単なことですが、植替えしてはじめて分かるような時もあり、植物に教わりながら出来あがってきます。(北住拓也)

Q3.こだわっておられる点など教えていただけますか。
3つあります
見えない根っこは大事なので、穴のあいていない器や内側に釉薬のかかった器は使いません。根が呼吸しやすいよう、用土も自分なりに工夫して、気持ちよく伸びていくことが何よりなので。 苔をはらないこと。以前は苔をはって展示会などに出していました。
苔をはると、どんなものでも“それっぽく”見えて、自分でも嘘くさく思え、「ああ、苔をはってる暇があるなら、もっとこの一鉢について学ぶことが山ほどあるはずだ」と思い、それ以来はらないことにしました。
三つ目に作品とは直接関係しませんが、僕らの住む下町界隈では、細い露地にトロ箱や植木鉢が所せましに並べられ、おばちゃんたちは朝7時頃には水やりをおえて、花がらをつんだり支柱をたて直したりしています。その風景が好きなので、我が家の一鉢も、その風景に自然ととけこめるものでありたいと願っています。(北住拓也)

Q4.川口暮らふとには、どのような作品が並ぶ予定でしょうか。アピール、メッセージなどありましたらお願いします。
三月の震災で、器が割れてしまったり枝が折れたりと、色々ありました。

作品数はそのため少なくなってしまいますが、そのなかでいきのよさそうな植物+器を、そして器のみを持っていこうと思っています。
“盆栽”ではなく、見方とかいうものもないので、足を運んでくれた方々が「私だったらこの器にはあの植物の方がいい」とか「俺ならこの植物にはこっちの器をあわせるな」とか近づいて見に来て下さると助かります。
そして是非器を買ってほしい。こんなことを言うと身も蓋もありませんが何も植わっていない器に何が良いかと想うことは、植えられた器をもとめるよりも面白味が増します。多分、植物の側からすれば10人いたら10人のそれぞれの発見とか孤独感を待っているように思えるからです。(北住拓也)